キアヌリーブスのいろいろな仮面。今回のGiftでの乱暴者の夫Donnie Barksdale 「マトリックス」の究極のアクションヒーロー、「空騒ぎ」のようなシェークスピア劇、また メガヒットしたスピードではサンドラブロックと共演した。

彼がハリウッドで俳優になることを決心して生まれ育ったトロントを旅立ったとき、 彼は自分が現在のように成功するとは思っていなかった。

「僕は1969年型のイギリスの緑のVolvo122に乗ってやってきたんだ。」と彼は回想する。 「シートの下にブロックを置いてバックシートの穴は新聞で隠してさ、でも僕は その車でいろいろなところに行った。僕はその車を信頼してたし、その車は僕を がっかりさせなかった。」

そのときすでに彼はカナダで「ヤングアゲン」というテレビ映画でRobert Ulrichや Lindsay Wagnerと共演していた。

Lotus Landでは一度彼は義父と6ケ月間いっしょに生活した。 しかし彼が仕事にありつくまでに14ケ月かかった。それは彼が15歳のときに演技をするのが 自分の運命だと決めたのはそう悪い考えではなかった。

「俳優になるって決めたのは僕が15歳のときだった」と彼は言う。 彼はダークなチャコールグレーのスーツに黒いＴシャツを着ている。髪はヤマアラシのようにはねている。

「僕は10年生のときにロミオとジュリエットからのあるシーンを演じた時、それがとても楽しかったんだ。 僕の義父は監督で俳優で劇場に関係があったんだ。僕は16歳のとき劇場の社会の中に 入り込んで劇のまねごとや演技をやっていたんだ。単に好きでやっていただけなんだけど。

僕は15歳のとき母に言ったんだ。『僕、俳優になってもいい？』

そしたら母は言ったんだ。『どうしてもそうなりたいならね。』

だから僕は自分の夢を追ったんだ」

彼のターニングポイントは初めて「ウルフボーイ」よ呼ばれる劇のオーディションに 合格したことだった。

「僕は学校を中退して働いていた。僕はこの店のマネージャーになったんだ。でも夜は演技 の学校に行っていた。オーディションの過程を思い出すよ。そんな生活に絶えられなくなった んで仕事はやめて演技に没頭したんだ。それは狭き門だった。僕は若かったけど勇気を出して その場に挑んだ。若いときってのは殆ど責任なんてないものね。」

彼はアルコール中毒者の息子を演じた。彼はその日の最初の日を思い出す。

「僕はその日6時にセットに来たんだ。墓場には偽者の雪があって酔っ払ったふりをしていた。 僕の死んだ父親の墓の周りをショットガンを持ってうろつくシーンでは即席で演技していた。」 彼はその思い出に大笑いした。

「セットをうろつきながら、『いいぜキッド！さあここに偽者の酒と偽者のショットガンと偽者の 雪があって墓にはお前の死んだ親父がいるんだ。行け！』それはすばらしかった。僕は袖をまくって 仕事に行ったんだ」

彼は36歳である、それ以来、演技の道を進んできた。彼はティーン向けの映画「River's Edge」 に出演し、ティーンエイジャーに人気を博していった。しかし彼はそのことについて関心を持って いなかった。その代わり彼は「マイプライベートアイダホ」「フィーリングミネソタ」 「ドラキュラ」「から騒ぎ」のようなオフビートな奇妙な役ばかりやっていた。

「僕はいつも違う役や違うジャンル、また規模の違う映画でいろいろな役を演じていたい と思っているんだ。」と彼は言う。「『リトルブッダ』から『スピード』、 『マイプライベートアイダホ』から『ディアボロス』といったように。。」また彼は肩を すくめて「そういうのって単なる生まれつきなんだけどね」

そして、まるで子供のようにシンコペーションの効いたラグタイムのような彼の独特のリズムで 体を揺らしはじめる。

「概ね、僕は自分にかなり満足していたんだ。 そういえば学校では僕は誰かにいつも聞いていた。僕はなぜ相手がやっているかってことの 意味がわからないときは「どうして」って聞かずにはおれなかったんだ。」

最近の彼が演じた役はThe Giftの暴力的な恐ろしい夫のDonnie Barksdaleである。 彼は自分の魂の中にある暗い部分を探り当てたという。

「アメリカの男性はDonnie Barksdaleみたいな部分を多かれ少なかれ持っているんじゃないかな。 僕はこの関係というのが何かというのを臨床的に検証したかったので僕は夫婦の問題について 相談を受けたり研究している人達に会ったんだ。 その人達によると男性というのは一般的に自分の感情を表現することができないし、自分の価値を低く見てい るというんだ。そしてその男性は自分を外界から締め出してしまうんだ。大抵、彼らは乱暴に振舞うことを自 分の親から引き継いで、それがすべてに渡って苦悩となるんだ。そしてそこからまた始まるんだ。 力のコントロールと感覚がなくなるんだ。」

とそこまで話し、彼は手を椅子の腕に落とす。

アカデミー賞を受賞したHilary SwankはReevesの口喧しい妻Valerieを演じている。 この喧嘩ばかりの関係を演じるためにSam Raimi監督は二人にいくつかのシーンを即興で演じる ように指示した。

「トレーラー（控え室）の小さな部屋で監督は言った。 『ＯＫ！さあチェックしてみよう。Donnie とValerieの会話をやってみてくれ！』」

「僕達は役の世界に入っていった。僕の中に何かがこみあげてきた。そして監督は僕 にHilaryに『嘘をつくな！』って言い続けろと言ったんだ。 Hiralyは叫ぶ。『いいえ嘘なんかついてないわ。Donnie。私達、友達じゃないの』。 そしたら監督はまた言った。『君が嘘をつくなと言うときに必ず彼女を殴るんだ。』。 そしたら何かある種の陶酔感がわきあがってきたんだ。僕はいきなり彼女を壁に押し付けた。 そして後ろから彼女の下着を剥ぎ取った。その即興によってどんな夫婦間の暴力というものが どのようにして起こるのか、またその関係が続けさせるものは何かということがわかったんだ。」

「その即興の後、僕の心臓は激しく動機を打っていた。僕は外に 出た。何もかもが静けさに包まれていた。僕は自分が変わったってことを感じた。それが 僕が演技を愛する理由なんだ。僕は演技をすることで自分について、そして他の人について 学ぶことができるんだ。」